アロマ&ケアは、治療ではありません。精油が薬ではないことも法律でも定められています。接客をするときは、精油の作用をうたうような説明は避け、香りの特徴や心身の健康に役立てることを相手に説明するように心がけましょう。
ここからは、アロマ&ケアに関わる法律を詳しくご説明します。違反例を確認しましょう。

医薬品医療機器等法(平成26年11月25日、薬事法が改正されました)
医薬品、医薬部外品、化粧品などの品質、有効性、安全性を確保することを目的とした法律です。医薬品医療機器等法は、「薬機法」と略されることもあります。精油は、さまざまな作用や効果があるため、医薬品、医薬部外品、化粧品と混同しやすいものです。
しかし、精油は医薬品、医薬部外品、化粧品のどれにもあてはまらず、「雑貨」や「雑品」として扱われます。そのため、医薬品や化粧品として誤解されるような取り扱いは認められません。また、許可なく勝手に製造したり販売したりすることも禁止されています。
違反例
商品を販売するために「ラベンダーの精油には、不眠症治療に効果があります」と宣伝する
・・・医薬品に誤解される説明は違反&効果や効能、治療を意味するような表現も禁止
精油を使用した手作り化粧品をバザーで販売する
・・・無許可での製造や販売は違反

景品表示法
品質や値段などを実際よりも良く見せかけて表示して、消費者の選択を妨げる行為を規制する法律です。景品表示法は、正式には、不当景品類及び不当表示防止法といいます。
違反例
「希少な葉から抽出した精油です」と言って販売する
・・・希少性を証明する資料がない&希少性がない場合は違反
常に5000円で販売しているのに「10000円が今だけ5000円」と広告を表示する
・・・有利な価格表示するのは違反
医師法
医師の国家資格や業務などについて規制する法律です。医師免許を持たない人が、病気の診断や治療行為を行なうことを禁止しています。また、精油を薬のように扱うことも禁止です。
違反例
「胃腸が弱っていますね」とアドバイスして精油を販売する
・・・アロマ&ケアで診断する行為は違反
「アロマトリートメントで病気が治ります」と言って精油を利用して治療する
・・・適切な医療を受ける機会を奪うような行為は違反

消防法
精油は、揮発性物質であり引火の可能性があります。自分のアロマ&ケア用に精油を保管する場合には取り扱いに注意が必要です。また、アロマ専門店などで多量の精油を保管する場合は、消防法に基づいて消防設備の整備する必要があります。
あはき師法
あん摩・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師に関する法律です。免許を持たない人が、あん摩、マッサージ、指圧、鍼、灸行為を行なうことを禁止しています。アロマトリートメントとマッサージはよく似ている行為と思われがちですが、実際には違います。
「マッサージ」とは、「疾患の治療や痛みの緩和」という目的のために人の身体に施術を行なうことをいいます。一方の「アロマトリートメント」とは、「リラクセーション(癒し)」という目的のために行うサービスです。 
アロマトリートメントに関する注意事項
- 効果や効能を述べてはいけない

- 治療や症状の緩和、軽減を謳ってはいけない
- 診断や病名を告げてはいけない
- 健康を害する恐れがある行為は行なわない
- 正当な医療を受ける機会を失わせない
スクールの講師として
スクールの講師として働く場合はどうでしょうか?精油の作用や効果、学術論文など伝えるのであれば、法律の規制を受けることはありません。これは、個人レベルの勉強です。ただし、スクールで伝えた講義内容(自分の体験談なども含めて)が、商品の販売やアロマトリートメントのサービスと一緒になると、それは薬機法に違反する可能性があります。
正しい表現例
「オレンジ・スィートの精油には安眠効果があります」とスクールで講義する
→これは個人的な勉強です。規制はありません。
誤った表現例
「オレンジ・スィートの精油には安眠効果があります」とスクールで講義したあと精油を販売する
→効果や効能を宣伝して販売することは薬機法に違反します。
講義内容と精油の販売が一緒にならないように、完全に切り離して考えましょう!
Lesson11-2 まとめ
・接客で、精油の香りの特徴を説明するのは、法律に違反しない
・「医薬品医療機器等法」とは、医薬品、医薬部外品、化粧品などの品質、有効性、安全性を確保することを目的とした法律である
・バザーで、精油を使用した手作り化粧品を販売することは、違法である
・「景品表示法」とは、品質や値段などを実際よりも良く見せかけて消費者の選択を妨げる行為を規制する法律である
・サロンやショップで「アロマトリートメントで病気が治ります」と言って、精油を使って治療することは「医師法」に違反する
・「あはき法」では、免許を持たない人が、あん摩、マッサージ、指圧、鍼、灸行為を行なうことを禁止している
・「マッサージ」とは、疾患の治療や痛みの緩和という目的のために人の身体に施術を行なうことである
・「アロマトリートメント」とは、リラクセーションという目的のために行うサービスである
・スクールの講師として精油の効能を説明したあと、その場で精油を販売することは薬機法に違反する