手作り化粧品のレシピでは、「グリセリン」「無水エタノール」など普段あまり使わないような材料が登場しました。アロマ＆ケアでは、グリセリンや無水エタノールのような精油を希釈するための材料を「基材」と呼びます。
この基材の特性を活かすことで、アロマ＆ケアがさらに面白くなります。基材について学びましょう。
① アルコール（エタノール）
精油と水を混ざりやすくするために使用したり、容器や道具の消毒に利用したりします。薬局に行くと、「無水エタノール」と「消毒用エタノール」という名前で販売されています。
「無水エタノール」は、エタノールを99.5％以上含むものです。こちらは、アルコール純度が高く、精油を溶かすという目的に適しているアルコールです。
一方の「消毒用エタノール」は、エタノールを76.9～81.4%含むものです。こちらは、皮膚や器具の消毒に適しているアルコールです。アロマ＆ケアでは、主に「無水エタノール」を使用しますが、アルコール度数の高いお酒「ウォッカ」で代用することも可能です。
② グリセリン
油脂から採れる無色透明の粘り気のある液体です。保湿効果があるため、化粧水やクリームなどの基材として使用します。薬局で手に入ります。
③ 重曹（炭酸水素ナトリウム）
弱アルカリ性の白い粉末です。皮膚に対しては、洗浄作用やなめらかにする効果があり入浴剤として使用します。また、フライパンや鍋の油汚れなど酸性の汚れを落とすための洗剤としても利用します。
④ クエン酸
強い酸性の白い粉末です。重曹と組み合わせると泡の出る入浴剤ができます。また、石けんカスや水垢などアルカリ性の汚れを落とすための洗剤としても利用します。
⑤ 天然塩
海塩や岩塩などの通称名です。具体的には、マグネシウムなどのミネラルを豊富に含んだ塩のことです。発汗作用、血行促進などがあり、スクラブ剤や入浴剤の基材として使用します。
⑥ ハチミツ
ミツバチが花から集めた蜜を原料にしてつくった甘味料です。保湿作用、殺菌作用、抗炎症作用があり、クリーム、パック、入浴剤の基材として使用します。
⑦ 精製水
不純物が入っていない純度の高い水です。化粧水やスプレーの基材として使用します。薬局で手に入ります。また、飲料用のミネラルウォーターで代用することも可能ですが、ミネラルの少ない軟水を使用しましょう。
⑧ 芳香蒸留水（フローラルウォーター）
植物を蒸留して精油を採取するときに（水蒸気蒸留法）できる芳香成分を含む水のことです。ラベンダー、ローズ、ネロリなどさまざまな種類があります。そのまま化粧水として使用したり、クリームやパックの基材として利用したりします。
⑨ クレイ
マグネシウムなどのミネラルを主成分とする粘土です。吸収作用、吸着作用、収れん作用、殺菌作用、冷却作用などがあり、パックやファンデーションの基材として使用します。
⑩ ミツロウ（ビーワックス）
ミツバチが巣をつくるとき分泌するロウ（ワックス）です。現在でも、ロウソクや口紅の材料として利用されています。抗菌作用、保湿作用があるため、アロマ＆ケアでは、リップクリームやハンドクリームの基材として使用します。融点は、60～66度で、湯煎で溶かし、精油と混ぜ、冷やし固めてクリームをつくります。
コレだけは、そろえておきたい道具
① ビーカー＆ガラス棒
精油の計量や基材を混ぜるときに使います。目盛があり、正確に計量できます。また、耐熱性のものは、湯煎や電子レンジでも使えて便利です。
② 遮光性ガラス容器
トリートメントオイルなどの手作り化粧品は、熱や直射日光に弱いため、遮光性ガラス容器で保存するのが最適です。アロマ専門店では、サイズや形などさまざまなタイプがあります。
③ 計量スプーン
料理用の計量スプーンを使用することできますが、香りが移ることもあるためアロマ用と分けて使いましょう。
Lesson5-4 まとめ
・アロマ＆ケアで使用する精油を希釈するための材料を「基材」という
・基材としてアルコールがない場合は、代わりに「ウォッカ」を使用することも可能である
・保湿効果がある「グリセリン」は、化粧水やクリームなどの基材として使用する
・「ハチミツ」には、保湿作用、殺菌作用、抗炎症作用などがある
・「クレイ」には、吸着作用、収れん作用などがある
・「ミツロウ」とは、ミツバチが巣をつくるとき分泌するロウであり、ビーワックスとも呼ばれる
・不純物が入っていない純度の高い水を「精製水」といい、化粧水やスプレーの基材として使用する
・市販のミネラルウォーターを基材して利用する場合は、「軟水」を選ぶ
・「芳香蒸留水」とは、水蒸気蒸留法によって精油を採取するときにできる芳香成分を含む水のことである
・「遮光性ガラス容器」は、手作り化粧品を保存するのに適している