19、フランキンセンス（オリバナム/乳香【にゅうこう】）

（科名：カンラン科　産地：ソマリア、エチオピア、レバノン　抽出部位：樹脂　抽出方法：水蒸気蒸留法）

（主な作用：抗炎症作用、去痰作用、抗ウィルス作用、抗菌作用、細胞促進作用）

フランキンセンスは、「オリバナム」「乳香」とも呼ばれ、歴史ある植物です。古代エジプト時代にはミイラ作りの防腐剤として使われたほか、スキンケアの材料や宗教儀式に利用され歴史上では度々登場しています。

木の幹を切りつけると、そこから乳白色の樹脂が採れ、それを固めたものがフランキンセンスです。これに火をつけると白い煙とともに神秘的な甘い香りが広がります。

フランキンセンスの精油は、樹脂から水蒸気蒸留法によって抽出します。この精油には、皮膚細胞の成長を促す作用があるため、シミやシワ、たるみなどの改善に役立つほか、去痰作用によって、過剰な粘膜を排出し、咳や痰、気管支など呼吸器系の不調に使えます。

20、ベルガモット

（科名：ミカン科　産地：イタリア、モロッコ、チュニジア　抽出部位：果皮　抽出方法：圧搾法）

（主な作用：鎮静作用、鎮痛作用、抗うつ作用、消化促進作用、駆風作用、抗菌作用、抗ウィルス作用、抗真菌作用）

ベルガモットといえば、紅茶のアールグレーで有名な香りです。苦甘いフルーティーなべルガモットは、誰もが笑顔になれる温かみのある香りです。

ベルガモットの精油成分「酢酸リナリル」「リナロール」には鎮静作用があるため、うつ症状や不眠に役立ち、心配事や孤独感を抱えているときでも明るく穏やかな気持ちへと導いてくれます。

また、ストレスから起こる食欲不振や消化不良など消化器系の不調にも最適です。しかし、光毒性が強いため、肌へ塗布した場合は紫外線に当たらないようにしましょう。

21、レモングラス

（科名：イネ科　産地：インド、ブラジル、西インド諸島、スリランカ　抽出部位：葉　抽出方法：水蒸気蒸留法）

（主な作用：鎮静作用、鎮痛作用、抗アレルギー作用、消化促進作用、抗菌作用、抗真菌作用、忌避作用）

草原をイメージさせる力強いレモンの香りがするレモングラス。タイ料理「トムヤンクン」のスパイス、ハーブティーとしても親しまれている植物です。

虫が嫌いな香りを持つレモングラスの精油を使えば、虫よけスプレーを手作りすることもできます。レモングラスの精油には、代謝や血行をスムーズにするはたらきがあり筋肉痛や疲労回復に役立ちます。

また、レモングラスの精油成分「シトラール」は抗菌作用、抗真菌作用、鎮痛作用、忌避作用がある一方で、皮膚刺激が強いという性質もあります。そのためレモングラスの精油は、低濃度で使用しましょう。また、イネ科のアレルギー、花粉症がある方も気を付けましょう。

22、ミルラ（没薬【もつやく】）

（科名：カンラン科　産地：エジプト、ソマリア、モロッコ　抽出部位：樹脂　抽出方法：水蒸気蒸留法）

（主な作用：鎮静作用、鎮痛作用、抗炎症作用、収れん作用、抗菌作用、抗真菌作用、抗ウィルス作用）

スモーキーで奥深い甘さがあるミルラは、フランキンセンスと共通点が多い植物です。木の幹を切りつけると、そこから薄黄色の樹脂が採れ、それ空気に触れると赤褐色の塊になり、さらに水蒸気蒸留法で抽出したものがミルラの精油です。

フランキンセンスと同様に古代エジプト時代にはミイラ作りの防腐剤として使われたほか、聖書のイエス・キリスト誕生物語の中では、東からきた学者たちが「黄金」「フランキンセンス」「ミルラ」を贈り物として捧げたと書かかれています。

さて、昔から傷の手当てする軟膏として利用されてきたミルラには、抗炎症作用や鎮痛作用があります。そのため、乾燥やかゆみなどの緩和、皮膚の保護に役立ちます。心理面では先が見えず苦しいときや自信をなくしたときに、気持ちを穏やかにして精神状態を安定させてくれる香りです。 

Lesson6-6　まとめ

・フランキンセンスとミルラは同じカンラン科で樹脂から採れる精油で、古代エジプト時代にはミイラ作りの防腐剤に利用されていた

・ベルガモットの精油成分「酢酸リナリル」「リナロール」には鎮静作用があり、うつ症状や不眠に役立つ

・ベルガモットの精油には光毒性があるため肌へ塗布した場合は紫外線に当たらないようにする

・レモングラスはイネ科の植物で、精油は葉から水蒸気蒸留法によって抽出する

・レモングラスの精油成分「シトラール」には皮膚刺激があるため、低濃度から使用する

・聖書のイエス・キリスト誕生物語の中で、「フランキンセンス」「ミルラ」が登場する