Lesson6-7 精油のガイド7(ベンゾイン、マジョラム、パチュリ、ジャスミン)

 23、ベンゾイン(安息香【あんそくこう】)

(科名:エゴノキ科 産地:タイ、インドネシア 抽出部位:樹脂 抽出方法:有機溶剤抽出法、水蒸気蒸留法)
(主な作用:鎮静作用、去痰作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗ウィルス作用)

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ベンゾインは、「安息香」とも呼ばれ、濃厚で甘いバニラに似た香りがします。ベンゾインは、フランキンセンスやミルラと同様に古代エジプト時代から「薫香」として利用され歴史ある香りです。

木の幹を切り付けると、その傷を守ろうとして黄赤色の樹脂が出ます。それを固めたものがベンゾインです。ベンゾインの精油には、鎮静作用があり不安で眠れないときや孤独感におそわれ寂しいときなどに使うと心まで温めてくれます。

どんな精油とブレンドしても相性が良いため、はじめて香水作りする方にもおすすめです。実際、ベンゾインの精油は香水の香りを引き立てるための「保留剤」としても利用されています。

24、スィート・マジョラム

(科名:シソ科 産地:エジプト、スペイン、イギリス 抽出部位:葉 抽出方法:水蒸気蒸留法)
(主な作用:鎮静作用、鎮痛作用、催眠作用、血圧降下作用、抗菌作用、抗真菌作用、抗ウィルス作用)

マジョラムは、幸福のシンボルです。結婚するふたりに幸せを願って送られたり、亡くなった人に安らぎをもたらすとしてお墓に植えられたりしています。

甘さの中に薬草のような苦味があるような香りがするマジョラムは、安眠の香りとして知られ、心を癒し深い眠りへと導きます。さらに、マジョラムの精油成分「テルピネン-4-オール」には、鎮痛作用や抗炎症作用があり、筋肉痛や肩こりの緩和に役立ちます。

その他にも、血液の流れを良くする作用があるため、冷え症やむくみ解消、ストレスによる消化不良などにも適しています。ただし、眠気を感じやすくなるため車の運転や集中したい場面では使用を避けましょう。

 25、パチュリ

(科名:シソ科 産地:フランス、エジプト、スペイン 抽出部位:葉 抽出方法:水蒸気蒸留法)
(主な作用:鎮静作用、鎮痛作用、抗菌作用、抗真菌作用、抗ウィルス作用、抗炎症作用、収れん作用)

土のような香りがするパチュリは、一度嗅いだら忘れられない香りです。その独特の香りゆえ、香水業界では欠かせない存在です。

パチュリの精油は、他の精油とブレンドするとその香りが長持ちするため、香水の「保留剤」としても使用されています。パチュリの精油には鎮静作用があり、意欲や行動力が過剰な人や感受性が強すぎる人が使うと、自分を見つめ直すことができます。

また、抗菌作用収れん作用があるため、ニキビや脂っぽい肌に使用すると効果が期待できるほか、シワや傷あとを目立たなくさせるのに役立ちます。 

26、ジャスミンアブソリュート

(科名:モクセイ科 産地:アルジェリア、モロッコ、エジプト、フランス 抽出部位:花 抽出方法:有機溶剤抽出法)
(主な作用:鎮静作用、鎮痛作用、血圧降下作用、催淫作用、抗菌作用)

星形の可愛い花をつけるジャスミン。栽培は、17世紀に南フランスグラース地方ではじまり、その後、「グラースは香水の町」として発展し世界的にも有名になりました。日本でもジャスミンを花屋さんで園芸用としても見かけることができますが、これは精油とは別の種類のものです。

ジャスミンは、花から有機溶剤抽出法によって採れる「アブソリュート」の精油です。そのため、溶剤の残留が懸念され、スキンケアより芳香浴や香水に使われることが多い精油です。濃厚で甘くエキゾチックな香りがするジャスミン。

その精油成分「酢酸ベンジル」には、鎮静作用や催眠作用があり、ストレスや不安があるときに香りを嗅ぐと、不安な気持ちを鎮め高揚感や幸福感を得ることができます。上級者向けの大変高価な精油です。

そのため、はじめて購入する方は、小さいサイズから試すと良いでしょう。ただし、香りが強いため使用濃度には注意が必要です。

精油ガイドはただの序章です!                                                          ここまで、使い勝手の良い順番から数々の精油をご紹介してきました。お気に入りの精油はみつかりませたか?この精油ガイドは、精油のほんの一部しか書かれていません。実際に、精油を扱うときは、作用や安全性をその都度確認する必要があります。自分自身で精油の取扱説明書を確認してください。

Lesson6-7 まとめ

・ベンゾインは「安息香」とも呼ばれ、樹脂から採れる精油でバニラのような甘い香りが特徴である

・ベンゾインは、古代エジプト時代から「薫香」として利用されていた

・スィート・マジョラムはシソ科の植物で、精油は葉から水蒸気蒸留法によって抽出され、催眠作用がある

・スィート・マジョラムの精油成分「テルピネン-4-オール」には、鎮痛作用や抗炎症作用があり筋肉痛や肩こりの緩和に役立つ

・パチュリやベンゾインは、香水の「保留剤」としても利用されている

・土の香りがするパチュリはシソ科の植物で、葉から水蒸気蒸留法で抽出する

・ジャスミンの精油は、花から有機溶剤抽出法で採るため「アブソリュート」と呼ばれる

・南フランスのグラース地方は、「香水の町」として有名である