「女性ホルモンと似た構造の精油成分がある」とご紹介したのを覚えているでしょうか?
実は、精油にはホルモンと同じような作用を持つものがあります。そして、女性もまた女性ホルモンによって支配され健康と美を維持しています。ここからは、ホルモンとはなにかを勉強しながら、精油との関係性をみていきましょう。

情報を伝えるホルモンの働き
私たち人間は、環境の変化やストレスに適応するため、常に安定した身体の状態を保たなければなりません。そのために、身体の調整をしているのが「神経」と「内分泌系」です。
嗅覚のところで勉強しましたが、神経は、情報を電気信号に変えて次の神経へ次の神経へとその情報を送ります。それに対して内分泌系は、ホルモンが情報を伝えます。
ホルモンは、血液とともにゆっくり身体をめぐり、決まった器官だけがそのホルモンの情報を受け取るという仕組みで働いています。ホルモンが「鍵」だとすると、受け取る器官が「鍵穴」のような関係です。
また、ホルモンを分泌するところを「内分泌腺」といいます。内分泌腺は、気管の前にある「甲状腺」、細胞が集まる「すい臓のランゲルハンス島」、左右の腎臓の上にある「副腎」、「男性の精巣」、「女性の卵巣」など大きさや形はさまざまです。さらに、内分泌系をコントロールしているのが「脳下垂体」という場所です。

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ホルモンと精油の不思議な関係
最新の研究では、精油に含まれる一部の成分がホルモンの分泌を高める作用があると報告されています。では、ホルモンと精油にはどのような関係があるのか、みていきましょう。
精油は、ホルモンと似ているところがあります。たとえば、精油を希釈したトリートメントオイルを肌に塗るとどうでしょうか?精油成分が皮膚に浸透して毛細血管に入り全身をめぐります。つまり、精油成分自体がホルモンと同じような働きをしているということです。
では、香りを嗅ぐとどうでしょうか?香りは、「情報」という形になり脳へ伝わります。まず、感情をコントロールする「大脳辺縁系」に伝わり、気分を明るくしてくれます。
さらに、食欲や睡眠に関わる「視床下部」も刺激も受けます。すると、食べ過ぎを抑えたり、不眠が解消したりと体調の変化が期待できます。
そして、ホルモンをコントロールしている「脳下垂体」にも伝わります。すると、脳下垂体はホルモンの分泌を促すように指示を出します。その結果、ホルモンがスムーズに全身をめぐることになるのです。
さて、クラリセージの精油成分「スクラレオール」もそのひとつです。スクラレオールは、女性ホルモンと似た構造を持つため、女性ホルモンを助ける働きがあると考えられています。
一般的に日本人はクラリセージの香りが苦手ですが、婦人科系の症状に悩む方は、「クラリセージ」の精油を好む傾向があり、自然と身体が必要な精油を探しているのかもしれません。
ホルモンを刺激する精油

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精油の香りを嗅ぐ
↓刺激・活性化
大脳辺縁系 (本能、記憶、感情を司る)→イライラ、うつ状態から明るい気分へ
↓ 刺激・活性化
視床下部 (自律神経の司令塔、睡眠、食欲などをコントロール)→不眠症が改善、食べ過ぎを抑える
↓ 刺激・活性化
脳下垂体 (ホルモンの分泌量や分泌時期をコントロール)
↓ 内分泌線へ「ホルモンの分泌」を指示
各内分泌腺
主なホルモン
- 子宮や乳腺を刺激して、陣痛を促進させ母乳が出るのを助ける(オキシトシン)
- 腎臓に働いて、再吸収をすすめ、体内の水分量を調整する(バゾプレッシン)
- 甲状腺から分泌され、身体の代謝や発育を高める(サイロキシン)
- 甲状腺から分泌され、骨から血液へのカルシウムの移動を抑える(カルシトニン)
- すい臓のランゲルハンス島から分泌され、血糖の量を減す(インスリン)
- すい臓のランゲンハンス等から分泌され、血糖の量を増やす(グルカゴン)
- 精巣に働いて、精子をつくるなど(男性ホルモン)
- 卵巣に働いて、卵子を育てるなど(女性ホルモン)
Lesson7-1 まとめ
・ホルモンは、内分泌腺から分泌され血液にのって全身をめぐり特定の器官にだけ作用する
・内分泌腺は、「甲状腺」「すい臓のランゲルハンス島」「副腎」などにある
・ホルモンの分泌量や分泌時期を最終的に決定しているのは「脳下垂体」である
・アロマトリートメントをすると精油成分が血液の流れとともに全身をめぐるため、精油自体が人間のホルモンと同じような働きをしている