女性ホルモンとそのメカニズム
現在、ホルモンは100種類以上あるといわれています。そのうち女性ホルモンと呼ばれるものは、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2種類のホルモンです。
エストロゲンは女性らしい身体をつくるのに欠かせないホルモンで、月経が終わる頃から排卵に向けて分泌量を増やしていきます。妊娠するために女性の魅力を最大限に引き出そうとしてくれるエストロゲンは、分泌量がピークを迎える頃になると体調も良くなり、精神的にもポジティブな気持ちになります。その後、排卵が終わるとエストロゲンは減少します。
一方のプロゲステロンは妊娠や出産を助けるホルモンで、エストロゲンが減少した頃から分泌量が増やしていきます。妊娠を維持するために体温が上がったり、水分や栄養を溜めようとしたり、便秘やむくみで悩む時期です。精神的にも、イライラしてネガティブな気持ちになります。
その後、受精が起こらない場合は、エストロゲンとともにプロゲステロンも分泌量が減少して、月経が起こるというメカニズムを繰り返しています。産婦人科では、基礎体温を書くように進められることがありますが、これは、こうした女性ホルモンの変化を知るためのものです。
エストロゲンの特徴
- 女性らしい身体をつくる
- 髪のツヤを良くする
- 肌を健やかに保つ
- 子宮に働きかけ、妊娠に備えて子宮の内膜を厚くし受精卵を着床しやすくする
- 体温を下げる(低温期/約14日間)
- 骨の量の減少を抑え、骨粗鬆症を予防する
- コレステロールの増加を抑える
- 分泌が増加する時期を卵胞期という
- 身体と心は、安定している
プロゲステロンの特徴
- 妊娠を維持しようとする
- 水分や栄養を溜めこむ
- 食欲が増進する
- 排卵後、体温を上げる(高温期/約14日間)
- 受精しない場合は、子宮内膜を落として月経を起こす
- 分泌が増加する時期を黄体期という
- 身体と心は、不安定になりやすい

月経前症候群(PMS)
月経前の体調の変化やイライラする気持ち、女性なら誰でも経験しているでしょう。これを「月経前症候群」といいます。Premenstrual Syndromeを省略して「PMS」とも呼ばれています。
原因は、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の急変動といわれています。月経がはじめる3~10日前からニキビができたり、憂鬱な気分になり、頭痛が起きたり、身体も心も不安定になります。
しかし、月経が始まると自然に軽くなっていきます。対策としては、基礎体温を記録して、まず自分の身体を理解することです。ある程度予測できれば、それに合わせた行動ができるためストレスも減ります。
次に、アロマ&ケアの出番です。月経前になったら、好きな精油を使って気持ちを落ち着かせましょう。とくに、ホルモン調整作用のあるゼラニウムやローズオットーの精油が役に立ちます。
ホルモンバランスの乱れと現代女性
女性ホルモンは、一体どこから分泌されているのでしょうか。前回少し説明しましたが覚えているでしょうか?女性ホルモンは、主に卵巣から分泌されます。
ただし、その指示をしているのは「脳」の奥深くある「脳下垂体」という場所です。この場所は、ストレスの影響を受けやすい場所です。そのため、ストレスがかかるとホルモン分泌に異常が起こるのです。
さらに、生活習慣の乱れ、過度なダイエットも影響します。最近では、晩婚化や晩産化もホルモンバランスに関係しているといわれています。昔は、20代で結婚、出産、子供も数人いるのが一般的でした。妊娠すると、排卵は一旦止まり、卵巣を休ませる時期が誰にでもあったのです。
しかし、現代女性はどうでしょうか?30代、40代での初産も珍しいことではありません。つまり、卵巣を休ませていないということです。そのため、子宮は働き過ぎて、ホルモンバランスの乱れるだけではなく、病気のリスクも高まっているのです。
Lesson7-2 まとめ
・「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は女性ホルモンである
・エストロゲンは、髪のツヤを良くしたり、肌を健やか保ったりと、女性らしい身体をつくる働きがある
・プロゲステロンは、妊娠を維持する働きがある
・エストロゲンの分泌が増加する時期は卵胞期といい、プロゲステロンの分泌が増加する時期は黄体期という
・月経がはじめる3~10日前に起こり、イライラや頭痛など身体と心に起きる不快な症状を「月経前症候群(PMS)」と呼ぶ
・月経前症候群には、ホルモン調整作用のあるゼラニウムやローズオットーの精油が役に立つ
・ホルモンの分泌を指示する「脳下垂体」は、ストレスの影響を受けやすく、ストレスが加わるとホルモン分泌に異常が起こる