Lesson8-1 ストレスと身体

誰もがストレス状態に陥る現代社会、ストレスへ対応するための手段としてアロマ&ケアが注目されています。ここからは、ストレスについて学習しながら、アロマ&ケアを活用する方法をさぐり、自分自身や周囲の心身の健康に役立てましょう。

ストレスとは

ここで問題です!

これらに共通して言えること何でしょうか?

  • 毎日の通勤、通学
  • 買い物
  • 結婚
  • 引越し
  • 病気 

その答えは、良くも悪くも「ストレス」だということです。専門的にはこれを「ストレッサー」といいます。「ストレッサー」とは「外部からの刺激(ストレス源)」のことです。つまり、私たちのまわりはストレッサーだらけということになります。

しかし、私たちの身体は、どんな状況であろうとそれに適応し、常にバランスを保とうとする力があります。このバランスを保とうとするしくみを「ホメオスタシス」といい、(「ホメオスターシス」ともいいます、日本語では「恒常性の維持」という意味があります)この働きによって私たちは心身の健康を保っているのです

それでも、なかには外からの刺激によってバランスを崩し、心身に歪みが生じることがあります。これが「ストレス」です。「ストレス状態」と呼ぶこともあります。一般的に、「ストレッサー」と「ストレス」は区別されず、どちらも「ストレス」という表現をしていますが、アロマ&ケアはストレスを扱うことが多いため覚えておきたい言葉です。

身近にあるストレッサー(ストレス源)

  1. 心理的ストレッサー (不安、怒り、喜び、悲しみなど)
  2. 社会的ストレッサー (人間関係、ライフスタイル、家庭、職場、地域など)
  3. 物理的ストレッサー (温度、湿度、音、光など)
  4. 化学的ストレッサー (煙草、臭い、化学物質など)
  5. 生物学的ストレッサー (ウィルス、細菌、カビなど)

適度なストレスは必要

アロマ&ケアもストレッサーのひとつであり、日常生活は刺激に満ちあふれています。では、ストレスとは、悪いものなのでしょうか・・・。もし、全くストレスのない状態になったら、私たち人間はどうなるのでしょうか?

実際に、このような研究が1950年代、盛んに行なわれていました。人間が刺激のない状態に、どの程度耐えられるのかを調べるための実験です。そのなかには、被験者に半透明のゴーグルと腕に筒状のものをはめてもらい、刺激の少ない部屋で過ごすという実験もあります。ヘロン(Heron,W.1957)の実験結果によると、早いものは数時間で実験を中止し、被験者のなかにはイライラと不安定になり、幻覚や幻聴などの症状があらわれたという報告もあります。

つまり、私たちには適度なストレスが必要だということです。ストレスがあるからこそ、気持ちに張りが出たり、意欲が湧いたりと充実した人生を過ごすことができるのです。

ストレスが身体に与えるさまざまな影響

私たちは、適度なストレスなら健康でいることができますが、ストレスが溜まり過ぎるとどうなるのでしょうか?その答えは、「病気」です。ストレスが引き起こす身体の病気を「心身症」と呼びます。

アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、自律神経失調症、過敏性腸症候群、糖尿病などが代表的なものです。では、ストレスが病気になるまでのメカニズムをみていきましょう。

ストレスは、「自律神経」に大きな影響を与えます。自律神経をテレビゲームに例えるならば、「テレビ画面」が「身体」、「コントローラー」が「自律神経」のようなイメージです。私たちのさまざまな機能を操作している存在です。

もう少し、具体的に説明しましょう。「自律神経」は、内臓や血圧などを無意識のうちに自動的に調整している神経です。さらに、自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2種類が働いています。日中は、心身をアクティブモードにする「交感神経」が優位になり、夜になると「副交感神経」を優位にして、のんびりリラックスモードにします。

しかし、ストレスがかかると「交感神経」を優位にして身体を緊張状態にします。すると、血管は収縮がして、血液がすみずみまで届かなくなり、身体が冷えたり、酸素や栄養が十分に運べなくなったりと身体の不調へとつながるのです。

この自律神経の乱れを「自律神経失調症」といいます。さらに、自律神経は、免疫系や内分泌系など全身へ影響を及ぼします。

ストレスが病気になるまで

  1. 自律神経系→交感神経を優位→血圧上昇、内臓機能低下→高血圧、心筋梗塞、脳梗塞など
  2. 免疫系→免疫細胞の機能低下→感染症、アトピー性皮膚炎、花粉症など
  3. 内分泌系→視床下部→脳下垂体→ストレスに関係するホルモンの増加→糖尿病、胃潰瘍、バセドウ病など

Lesson8-1 まとめ

・「ホメオスタシス」とは、どんな状況でも体内のバランスを一定に保とうする身体のしくみである

・「ストレッサー」とは、外部からの刺激である

・「ストレス状態」とは、ストレッサーによって起こる、心身の歪みである

・ストレスが引き起こす身体の病気を「心身症」という

・「自律神経」とは、内臓や血圧などを無意識のうちに自動的に調整している神経である

・自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2種類ある