Lesson8-2 ストレスと心

心の病気へ進行するストレス

ストレス状態が重症化した場合、身体だけはなく心にも影響を与えます。ストレスが原因で起こる疾患は、多岐にわたります。

①うつ病

「何もする気が起きない」「眠れない」「食べられない」など症状が2週間以上に渡って続く心の病気です。うつ病には、主に2つのタイプがあります。

1日中気分が落ち込んでいるうつ状態のみがあらわれる「単極性うつ病」と、元気になり過ぎる日と過剰にふさぎこむ日がある「双極性障害」です。さらに最近では、若者を中心に「新型うつ病(非定型うつ病)」が増えています。

これは、ささいなことで落ち込んだり、好きなことには気分が明るくなったりする新しいタイプのうつ病です。

②アルコール依存症

飲酒をコントロールできなくなる症状です。仕事のあとの一杯、仲間と語り合いながら飲むお酒は特別です。適度な飲酒は、問題ありません。

しかし、飲み過ぎは身体への負担になり、高血圧、心筋梗塞、痛風、脳の委縮などさまざまな問題を起こします。飲酒のトラブルは、中年男性ばかりと思われがちですが、最近では女性や高齢者のアルコール依存症が増えています。

③神経症

ストレスが引き金となって起こる心の病気です。神経症はさまざまなタイプがあります。

  • 不安障害(パニック障害)・・・原因不明の発作が起きて、動悸、発汗、震え、息苦しさ、めまいなどの症状があらわれる。また、発作が起こるのではないかという不安におそわれる。
  • 強迫性障害・・・何度手を洗っても汚れが気になったり、鍵やガスの元栓の閉め忘れを何度も確認したり、反復行為をする。
  • 心気障害・・・病気ではないとわかっているのに、自分が病気にかかっているのではないかと極端に恐れる。

ストレスの大きさを知る

上記のように、心の病気にはさまざまなタイプがあり、個人差もあります。また、一般的には「神経質な性格」や「几帳面な性格」だと心の病気になりやすいといわれていますが、「明るい性格」や「オープンな性格」でも心の病気にかかります。

人によっては、家族や友達に心配されたくないという思いから、元気に振る舞うケースもあるからです。つまり、人の性格だけで心の病気を判断することはできないのです。心の病気とストレスを理解するうえで大切なことは、性格やストレスの良し悪しだけはなく、「ストレスとなる出来事の大きさ」を自分自身やまわりが知ることです。

たとえば、大切な人との別れ、災害などの大きなストレスには、大きなエネルギーを必要とします。そして、回復するまでには長い時間がかかります。しかし、日常生活にあるような小さなストレスには、食事や睡眠など小さなエネルギーで回復する場合もあり、アロマ&ケアで対応できる可能性も広がるのです。

目に見えない心の声に気付くには・・・

では、自分自身やまわりのストレスに気付くにはどうしたら良いのでしょうか。気分の落ち込みだけはなく、日常生活や行動に現れます。

不眠、食欲がない、人に会わないで、一人でこもることが増えた、洋服などの好みが変わったり、身なりを気にしなくなったりする、生活リズムが不規則になる、常にイライラして、怒りっぽくなったなど・・・

このような状態が長引く場合は、要注意です。特に、「不眠」は心の病気に共通してみられる症状です。また、心の病気かどうかを判断する目安としては、「社会生活や日常生活が送れているかどうか」です。

会社に行こうとしても行けない、戸締りが気になって外出できないなど社会生活に支障が出始めているならば、病気と判断してすぐに医療機関へ相談して下さい。 

心の病気かも・・・、行くべき医療機関とは?

心の病気が疑われる場合、アロマ&ケアだけでは対処できません。頼りになるのは病院です。では、もし病院へ行くことになったら、何科へ受診すべきなのでしょうか?精神科、心療内科、神経内科どこでしょうか?

これら診療科目は、すべて心の病気を扱っているように思われがちですが、実は違いがあります。

まず、「精神科」は、「うつ病」「統合失調症」「強迫障害」など心の病気そのものを診ているところです。次の「心療内科」は、ストレスと身体の不調を見極める、つまり「心身症」「自律神経失調症」を専門に診ているところです。

最後の「神経内科」は、手足のしびれ、麻痺、震えなど脳や神経などの病気を診るところです。どこの科へ受診すべきか、判断に迷う場合は、まずは近くの病院へ相談しましょう。地域にある保健センターや精神保健センターなどでも相談することができます。

重要なことは、自分ひとりで悩みを抱え込まず誰かにサポートしてもらうことです。

 

Lesson8-2 まとめ

・ストレス状態が重症化した場合、「うつ病」や「精神病」などの心の病気を引き起こすことがある

・「うつ病」とは、「何もする気が起きない」「眠れない」「食べられない」など症状が2週間以上に渡って続く心の病気である

・「アルコール依存症」とは、飲酒をコントロールできなくなる症状である

・「神経症」とは、ストレスが引き金となって起こる心の病気である

・心の病気に共通してみられる症状は、「不眠」である

・ストレスから起こる身体の不調は、「心療内科」で診てもらうことができる