年齢を重ねると、目が見えにくくなったり動作が遅くなったりさまざまな問題が起こります。もちろん、嗅覚も例外ではありません。通常、美味しそうなニオイがすればお腹が空くように、嗅覚と味覚には密接な関係があります。
しかし、高齢になると嗅覚低下から食事を美味しいと感じられず、食事量が足りないという事態になることもあります。また、最近ではアルツハイマー型認知症に嗅覚低下や嗅覚障害がみられることが報告され、さらなる研究が進んでいます。
ここからは、高齢化に突き進む現状を考えながら、アロマ&ケアの可能性を探ります。 
平均寿命と健康寿命の差
誰もが元気な状態で長生きして生涯を終えたいものですが、そのなかには寝たきりや認知症などに苦しむ方もいます。では、私たちはどのくらい生きられるのでしょうか?厚生労働省の調査によると、2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳です。いずれも過去最高を更新され、日本人の「平均寿命」は年々伸びる傾向にあります。
では「健康寿命」はどうでしょうか?「健康寿命」とは、健康上、問題がなく介護を必要としない状態で日常生活を送ることができる期間をいいます。健康寿命は3年おきに発表がありますが、2013年の発表をみると健康寿命は女性74.21歳、男性71.19歳で、その年の平均寿命は女性86.61歳、男性80.21歳でした。
つまり、平均寿命と健康寿命には、約10年の開きがあり、元気な状態で生涯を終えるのは難しい状況にあるといえます。
健康寿命を延ばすアロマ&ケア
自分らしく健康的な老後を迎えるためには、医療機関や地域との連携とともに、自分自身でも健康寿命を延ばす努力が必要です。高齢になってからの病気やケガは治りにくいうえ、寝たきりや要介護のリスクが高まります。
まず、姿勢を正しくして、できるだけ歩き、筋力を維持すること、次にバランスの良い食事して病気に負けない身体をつくることです。そして、アロマ&ケアです。香りを嗅ぐことは脳を刺激し、心身の活性化につながります。
高齢者はもちろん、家族のストレスケアにもアロマ&ケアは有効です。特に、おすすめなのが手軽な芳香浴です。精油には揮発性があるため、ティッシュに垂らすだけでも自然に香りが広がります。
逆に、注意が必要なアロマ&ケアは、アロマトリートメントです。アロマトリートメントで使用する植物油は、肌に伸ばすと滑りやすくなり「転倒の恐れ」があります。足の裏は、最も危険な場所です。もしアロマトリートメントを行なう場合は、手元にタオルを準備して、終わった後は必ず拭き取るようにして下さい。
また、医療機関へかかっている方、薬を服用している方は、芳香浴、沐浴、トリートメントなどアロマ&ケアを行なう場合、必ず医師に相談して下さい。

芳香浴&部分浴アロマ&ケアのおすすめレシピ
芳香浴や部分浴におすすめの精油ブレンドをご紹介します。
芳香浴・・・ティッシュやお湯を張ったマグカップに数滴落とし、ゆっくり深呼吸してみましょう!
部分浴・・・様子を見ながら、精油は1~3滴使用します。洗面器に40℃くらいのお湯を入れ、精油を垂らしよく混ぜてから行いましょう。足浴は、全身が温まり冷え症や足のむくみに悩む方におすすめです。
- 元気を出したいとき・・・ラベンダー1滴+レモングラス2滴
- ゆっくりしたいとき・・・ゼラニウム1+レモン1滴
- 風邪予防・・・ティートリー1滴+レモン2滴
- 食欲がないとき・・・オレンジ・スィート3滴

お風呂に入れないときには、アロマ&ケアの清拭法
清拭【せいしき】とは、お風呂に入れないとき、身体の汚れを落とすために身体を拭くこといいます。清拭には、血行をスムーズにするマッサージ効果もあります。気分転換に精油を活用して、肌を清潔に保つとともに香りを楽しみましょう!

準備するもの
- 精油2滴(精油は、できるだけ控えめに使用しましょう。ラベンダーやティートリーがおすすめです)
- お湯
- 洗面器
- バスタオルやタオル
- 温かい部屋
方法
- 洗面器にお湯を張り、精油を落とします。タオルを浸して絞り、ホットタオルを作ります。
- 寒くならないようにバスタオルで身体を覆います。
- 心臓へ向うイメージで、頭→顔→手、腕→胸→お腹→背中→足の順番で拭いていきます。
Lesson9-6 まとめ
・日本人の「平均寿命」は年々伸びる傾向がある
・「健康寿命」とは、健康上、問題がなく介護を必要としない状態で日常生活を送ることができる期間である
・アロマトリートメントで使用するオイルは、滑りやすく転倒の恐れがあるため細心の注意を払う
・医療機関へかかっている場合や薬を服用している場合は、必ず医師に相談してからアロマ&ケアを行なう
・身体の汚れを落とすために身体を拭くことを「清拭」といい、少量なら精油を活用することも可能である