私たちは、野菜や果物などの食材、住まいに利用する木材、漢方薬をつくるための薬草などすべて植物のめぐみを受けて生きています。精油は、その植物のめぐみのひとつです。では、精油にはどのような働きがあるのか、具体的にみていきましょう。

精油とは
「精油(エッセンシャルオイル)」は、植物の花・葉・果皮・樹皮・根・種子・樹脂などから香り成分だけを抽出して、小さなビンに詰めたものです。精油の種類は、何百種類もあるといわれています。また、精油は、非常に貴重なものです。
たとえば、1キログラムのラベンダーの精油を採るために必要な花と葉は100~200キログラム、ローズの場合は、なんと3~5トンもバラの花が必要になります。
アロマオイルとの違いは?
お店へ行くと「アロマオイル」「フレグランスオイル」という名前で販売されている商品があります。これらは、人工香料が使われていたり、精油をエタノールで薄めていたりと、そのほとんどが100%天然のものではありません。
そのため、本来もつ精油の効果が期待できないのです。購入するときは、「精油」または「エッセンシャルオイル」と表記され、100%天然のものを選ぶようにしましょう。
また、精油のパッケージや取扱説明書に、植物の「学名」「産地」「抽出部位」「抽出方法」などが正しく記載されているかどうか、確認してから購入しましょう。
精油の品質に関する用語
一般的なアロマ&ケアでは、「ピュアナチュラル」 or 「オーガニック」の精油を使用します。
- ピュアナチュラル(成分無調整)・・・ 100%天然、混ざり物がなく自然なもの
- オーガニック(有機栽培)・・・ 無農薬、化学肥料を使用せずに栽培したもの(国によって基準が異なる)、通常栽培(ピュアナチュラル)と比べると、精油成分に大きな差はないが、より自然に近く、香りも少し異なる
- 偽和(ぎわ)・・・ 高価な精油に似せたもの、他の精油や合成化学物質などを加えたり薄めたりして天然の精油に似せたもの
- 成分調整・・・ 他の産地のものや産地年度の異なるものを混ぜたり、特定の成分を除去したりしたもの
精油の性質
精油にはいくつかの性質があり、正しく理解することが重要です。
精油の性質を覚えましょう!
- 芳香性 (香りを出す)
- 揮発性 (自然に蒸発すること)
- 脂溶性 or 親油性 (アルコールや油に溶ける)
- 低比重 (多くの精油は水より軽い)
- 引火性 or 可燃性 (燃える)
精油は、「油」という文字を含みますが、油とは全く違います。たとえば、ハンカチに精油を1滴落とすとどうなるでしょうか。部屋に印象的な香りが広がるとともに、精油は空気中にどんどん蒸発していきます。
さらに、精油を水やお湯に入れると、水面に浮かびます。これは、水より軽く、水に溶けにくいからです。しかし、植物油にはよく溶けます。また、精油は、引火する可能性があります。保管方法には注意が必要です。
Lesson2-1 まとめ
・植物の香り成分だけを抽出したものを「精油(エッセンシャルオイル)」という
・「アロマオイル」「フレグランスオイル」と表記されているものは、100%天然のものでない可能性が高い
・精油を購入するときは、植物の「学名」「産地」「抽出部位」「抽出方法」などが正しく記載されているものにする
・アロマ&ケアでは、100%天然の「ピュアナチュラル」または「オーガニック」の精油を使用する
・無農薬で栽培したものを「オーガニック」という
・高価な天然の精油と似た香りを作り出すために、他の精油や合成化学物質を加えたものを「偽和」という
・他の産地のものや産地年度の異なるものを混ぜたり、特定の成分を除去したりしたものを「成分調整」という
・精油には、「芳香性」「揮発性」「脂溶性」「引火性」などの性質がある
・精油の香りが自然に蒸発していく性質を「揮発性」という
・精油がアルコールや油に溶ける性質を「親油性」という